LINN ProductsのMAJIK DSM 3について(導入記)

以前から、手許のSACDやハイレゾ音源が収録されているDVD、Blu-rayディスクを、PCを使わずに収録フォーマットの本領を発揮させたいと考えていたのですが、10月下旬家族で外出した際にショールームで実機を見てしまったのが沼への入口。「清水の舞台から飛び降りる気分で」 LINN ProductsのMAJIK DSM 3を購入するに至りました。
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BDプレーヤー等のSPDIF出力には一般的に制限がかかっており、ハイレゾディスクを再生しても通常44.1/48kHz・16bitフォーマットでしか出力されないのですが、本機ではHDMIを経由してハイレゾ音源そのもののクオリティでDA変換→パワーアンプへ入力可能となります。 なお、MAJIK DSM自体はDSDフォーマットには対応していないので、BDプレーヤーの出力設定をPCM固定とし、接続先のTVからHDMIケーブルを外して機器電源をONするなどのちょっとした工夫で、SACDが176kHz・24bitのPCMでDSMへ転送・再生できました。(写真)
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メインアンプ部はMOS FET出力のモノリシックICとバイポーラ・パワートランジスタを組み合わせた高効率のアナログ方式(LINNはこれをCHAKRAと名付けています)で、小出力時の消費電力は実測32~33W程度です。これは以前使っていたONKYOのデジタルアンプA-7VLとほぼ同じ。定格4Ω100W x 2ch出力のアナログアンプとしては発熱が少ないと思います。

オーディオ機器としてはまだ少数派のスイッチング電源(LINNではDYNAMIKパワーサプライと呼んでいます)が使われており、本体重量5kg台の軽量級。私は今まで使っていたTEACのAI-501DAがスイッチング電源方式のパワーアンプだったので違和感はありませんでした。むしろ重量級トランスとダイオードブリッジ、ケミコンを組み合わせた所謂「アナログ電源」であっても、実はダイオードによる50/60Hzでの「スイッチング」を繰り返し、AC波形のピーク時にケミコンへ充電電流が流れ込んでいるのです。FFTで「アナログ電源」を解析すると50/60Hzの高調波が可聴帯域全域にわたって盛大に出ている様子が見えます。一般的なアナログアンプであればパワーアンプ出力のエミッタフォロワ回路の特性により上記の電圧変動は大幅に抑圧されるのですが、あまり気持ちの良いものではありませんし、直流への変換効率もイマイチです。オーディオにも、上手に設計・製作されたスイッチング電源であればもっと積極的に使うべきではないかと思います。MAJIK DSM 3はスイッチング電源にアナログパワーアンプの組み合わせで、案外「キレイ」の相乗効果を狙っているのかもしれません。

一方で、デスクトップでスピーカーから近接距離での聴取が考慮されたTEACのAI-501DAと比べると、MAJIK DSM3は無信号時のサーっという残留雑音は多く、スピーカー出力端子でのデジタルテスターAC電圧モードの測定で約90~110μV。私の使い方は、リビングでフロア型トールボーイスピーカー(SONY SS-NA2ES)との組み合わせなので実用上問題ないレベルですが、精神衛生上は、残留雑音が小さいにこしたことはありません。音の傾向については、AI-501DAの弾むような低音とは異なり、DSMはどっしりとした重厚感を備えつつも、音階明瞭な低音域と定位の良いボーカルが持ち味のように感じます。決して高音が強調されている訳ではないのですが、声に力があり「口の形が見える感じ」がするのが美点だと思います。

本機はPC上のKonfigツールからLAN経由で各種設定が可能です。画像と音声の同期(Lip-sync)を合わせることもms(ミリセカンド)単位で設定可能。Lip-syncが取れた状態でNHKの大河ドラマをDSM経由で再生すると、登場者のセリフが上記の音質と相まって非常にリアルに聞こえるのに感動しました。スコットランド生まれのDSMですがNHK-FMの早朝の邦楽番組も自然で素直な響きです。また、ディスプレイの入力ソース表示名も下の写真のように簡単にカスタマイズできます。
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次に、DSMのLINE OUT端子から出力されるDA変換出力をFFTで測定してみました。
比較対象は手持ちのSONY Blu-rayプレーヤー BDP-380です。普及機で購入当時、実売2万円以下だったと記憶しています。Blu-ray(2K画像)、DVD、SACD、CDの再生に加えて、ベルリンフィルのネット配信Digital Concert Hallにも対応しています。

最初に測定系の残留雑音を確認(プローブ入力ショート)。
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MAJIK DSM 3のLINE OUTの残留雑音(デジタル入力ゼロ時)です。
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比較対象用のBDP-380のアナログ出力の残留雑音は以下の通り。DSMよりも出力レベルが若干低いのですがノイズフロアは逆に少々大きくなっています。でも価格差を考えれば大健闘と言ってよいかもしれません。
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次にDSMのチャンネルセパレーションをR ch→L chへの漏れ成分の信号レベルで測定しました。測定に使ったCDはDENONのCOCO-75084。
まず1kHz、漏れレベル約-120dBと良好です。
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125Hzでは-120dB以下。
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4kHzで約-120dB。
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10kHzでは-116~-118dB。
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16kHzでも-118~-119dB。
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因みに普及機のBDP-380は同じ帯域で-107~-104dBですが、価格の割には高音域でのセパレーション劣化が少なく、むしろ優秀な部類に入るのではないかと思います。これはBDP-380に搭載されているWolfson社製DACチップの出力が、複雑な回路を通らずにRCA出力端子へすぐに出ていくシンプルな回路構成が幸いしているのかもしれません。
機種名は差し障りがあると思いますので省かせていただきますが、以前所有していた他のDACでは高音域でセパレーションが劣化して-80dB位になるものもありました。なお、現在販売されているSACD・CDプレーヤーをネットで少し調べてみたところ、可聴帯域全域でのチャンネルセパレーションを仕様に記載しているメーカーはアキュフェーズ社(しかも保証性能で)くらいのようです。

話をMAJIK DSM 3に戻すと、チャンネルセパレーションに関しては価格相応の設計・検討がなされているようで安心しました。

本機はLAN上のストレージに音楽ファイルを保存しておき、ディスク交換の手間なく音楽を楽しんだり、ネット上のコンテンツを高音質で再生することを主目的に設計されているのですが、そちらの方はこれからじっくりと時間をかけて整備していきたいと思っています。

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